2021年、40年ぶりのアルバムでABBAが初めてグラミー賞にノミネート

2021年、40年ぶりのアルバムでABBAが初めてグラミー賞にノミネート

2021年11月5日、スウェーデンのスーパーポップグループ、ABBAが40年ぶりにニューアルバム「ヴォヤージ (Voyage)」を発売した。特に人気の高いイギリスでは、すぐにチャートの1位を獲得し、世界では初週に100万枚のアルバムユニットを売り上げ、ストリーミングでは1億9000万回以上の再生。活動を停止した1980年頃から、およそ40年の時を超え、ABBAの変わらぬ人気と実力が証明された。

さらにドイツでもチャート1位、アメリカでも過去最高のチャート2位を獲得するとともに、意外なことに初めてグラミー賞にノミネートされた。

ABBAは、4億枚以上のセールスを記録するポピュラー音楽史上最高のスーパースターであるにも関わらず、アメリカのメディアから冷遇されてきていて、これまでグラミー賞にはノミネートされなかった。日本の音楽メディアも全盛期の1975年頃にはABBAを無視していたが、それは当時の洋楽音楽雑誌の記者や編集者がクイーンとベイシティローラーズとKISSを推していたからだ。

グラミー賞にノミネートされた「アイ・スティル・ハブ・フェイス・イン・ユー(I Still Have Faith In You」は日本語の訳詞つきで動画が見られるようになっている。

1972年にスウェーデンで、アグネッタ(A)、ビヨルン(B)、ベニー(B)、アンニ・フリーダ(A)の4人のイニシアルをつないだグループ名をつけて結成したABBAは、1974年頃から快進撃を始め、世界のヒットチャートを席巻した。

ブレークのきっかけとなったコンテスト「ユーロビジョン」で優勝した曲「恋のウォータルー」。1970年代の最盛時には結婚していたベニー(左)とフリーダ(左から2番め)、同じく結婚していたアグネッタ(右から2番め)とビヨルン(右)という2組のカップルの健全な雰囲気がABBAの特徴のひとつだ。

数ある名曲の中でも代表曲にあげられる「ダンシングクイーン」。この動画では、当時、世界で最もABBAファンが多いといわれたオーストラリアの熱狂的な雰囲気がよくわかる。

ミュージカルの舞台と映画であまりにも有名な「マンマ・ミーア」。日本でも劇団四季によって演じられ、総観客動員数230万人を超える大ヒットミュージカルとなった。

ABBA好きを公言するミュージシャンは多い。特にロック系の大物が多く、代表的なのが元オアシスのノエルギャラガー、ジョンライドン、アリスクーパー、フランクザッパ、エルヴィスコステロ、ブライアンイーノ、ディープパープルのリッチーブラックモアなどだ。
そのリッチーブラックモアの後継者ともいえる速弾きスーパーギタリストのイングウェイマルムスティーンは「ギミーギミーギミー」をカバーしている。

また、U2も「ダンシングクイーン」をカバーし、ライブでビヨルンとベニーと共演している。

韓国の少女時代による「ダンシングクイーン」。

日本の岩崎宏美の「ダンシングクイーン」。

その他にもYouTubeには、おびたたしい数のABBAのカバーがアップロードされている。

世代や国や人種を問わず、ポップスの「お手本」として歌われているのがABBAなのだ。

2022年には、ロンドンのクイーン・エリザベス・オリンピック・パークにある専用の「ABBAアリーナ」で、バンドがCG映像のアバターとして出演し、10人編成のライブバンドとともに、ABBAのヒット曲のセットリストと『Voyage』からの2曲、「I Still Have Faith In You」と「Don’t Shut Me Down」を演奏する「ABBA Voyage」ライブを開催する。

全員が70歳以上の年齢になっているが、まだまだABBAの音楽とパフォーマンスは進化しているようだ。

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